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【特集】はくしま散歩 第ニ回:シールドトンネル

白島の地下に、大雨から街を守る
巨大なトンネルが出現

城北通りを広島駅方面に向かって進むと、常盤橋の手前で、左側に白い大きな「箱」のような建物が見えてきます。この白い「箱」の正体は、工事の騒音を周囲に漏らさないための防音ハウスで、現在施工中の「白島シールドトンネル」の発進地点。何と深さ約27mの地中を、白島通り、中央通り沿いに南下し、平和大通りまで、全長約2㎞もの地下トンネルを造っているのです。
近年、広島では都市化が進み、雨水を吸収できる緑地や空き地が減っています。このため、雨水の多くが下水道に流れ込み、大雨の時には下水管が満水となり、家屋などが浸水することがあるのです。この工事が始まってから、白島地区でも既に2回、大雨による浸水被害が報告されています。トンネルが完成すると、元安川と京橋川に囲まれた中心市街地の雨水を、既に完成している下流のトンネルを経由して、「新千田ポンプ場」まで一気に流すことができ、大雨による浸水被害を防止できるようになります。

シールドマシン掘削後、セグメント組立

組み立てられるシールドマシン

シールドマシンのカッター部

目的地にまっしぐら!誤差なく地下を掘り進むすごい技術

その名の通り、「シールド工法」で造られている白島シールドトンネル。大きな茶筒を横倒しにしたような形のシールドマシンが、地中の土砂を掘削し、同時に後方でセグメントと呼ばれる部材を組み立てて、内壁を構築していきます。広島市の中心市街地は、太田川の上流から流れてきた土砂が堆積してできたデルタ地帯。ボーリング調査で地中の様子を探った上での工事でも、実際に掘ってみると、想定とは違うことも。石だらけの地層にぶつかったり、化石化した貝殻が大量に出てきたり…。土砂の性質に合わせて、シールドマシンを常に調整しながらの掘削作業は大変だったそうです。
ところで、目印のない深い地中で、どうやって目的地までまっすぐ掘ることができるのか不思議に思いませんか? その秘密は、ジャイロコンパス。シールドマシンの方位や位置、傾斜をリアルタイムで正確に測量できる装置です。実際に掘るトンネルと到達予定地との誤差は、±50㎜以内(!)というから驚きです。

地下27mから、私たちの暮らしを守る「縁の下の力持ち」

シールド工法は、地上への影響が少ないことから、現代の都市土木工事の主流となっていて、広島市内でも既に数多く施工されています。地上にある工事現場は、発進地と到達地の2カ所だけ。普段と変わらず人や車が行き来している街の地下にトンネルが造られていることに、気づかない人も多いのではないでしょうか。現在は、一部の区間を残して掘削作業は終了し、トンネル内部の仕上げ作業が行われています。白島の地中深くで、大雨から暮らしを守る心強い「縁の下の力持ち」がお目見えする日が近づいています。

事業者から住民の皆様へ

(事業者/広島市、戸田・不動テトラ・沼田 建設工事共同企業体)

八丁堀交差点の下を安全にシールドマシンが通過するために行った夜間工事では、皆様に大変ご迷惑をおかけしました。引き続き工事中に、皆様にご迷惑をおかけしないよう細心の注意を払って工事を行いますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。